計測というものに

僕は物理屋ではない。電気屋でもない。情報屋でもない。僕は計測屋だ。計測は物理や数学や、電子や機械や情報やそういうものとは異なるのだ。同じなのに方法論は全く異なるのだ。僕はそれらの知識を知識として持っている。使えるかどうかは別として、知識として知っていて言われれば理解できる。間違ってる人がいれば指摘できる。適当なことを言っている人がいれば少し腹を立てることもできる。でも僕は彼らのいずれでもない。僕は計測屋なのだ。具象と抽象のちょうど境界線上にいてその二つの世界をつなぐのが計測屋の仕事なのだと僕は知っている。そこには厳密性が必要であり、ある程度ヒューリスティックであり、直観と理論が必要であり、かつ流れるような思考と揺るがない信念とけして折れることのない柔軟性が必要である。計測とはそういう世界である。相手の世界に合わせて柔軟に形を変えながら、自分のすべき仕事は変えることはない。
そういう世界に取りつかれているからぼくは厳密性に関してうるさく、直観を信じ、美しさにこだわり、現実性を求めるのだ。計測の世界は奥深い。すべての学問は計測につながり、計測の方法論となるのに、すべての学問に関して計測はただの手段だととらえられている。
僕は、計測が好きだ。