たとえるならそれは記憶の中にある放課後の教室のようで
儚く脆いからこそ目を引き付けられるのやもしれない
いつか失うものだと思うから大事に思うのやもしれない


たとえるならそれは窓辺にさす光のようなもので
直接目をやることはなくてもその存在を疑うことはないのだ
今、窓枠を照らしているだけなのか、強烈に差し込むのか、白い優しい色なのか、橙色のあたたかい光なのか
確かめたくなるでも確かめなくても 何となくわかる
そういうもの


たとえるならそれは耳に染みいってくる静寂のようなもので
気づけばそばにいるけれどその姿は見えないものかもしれない
まるで年をとった犬のようにそばに寄り添うものかもしれない


たとえるならそれは
美しさのように言葉にすると薄れてしまうものかもしれない
他愛のない会話の中にうまれてくる言葉にしがたい、言葉にすると陳腐にしかならない
その親しみをまなざしをあたたかさをともすれば言い合っているようにしか聞こえない言葉の応酬をいとおしみながら楽しむようなそういう
ものなのかも
しれない


いつの間にか慣れてしまった孤独を分け合いながら