久しぶりに死にたいという言葉が唇から滑り落ちて、しばらく何もせずに佇んでいた。その言葉を自分の口で吐いたのは何か月ぶりだろう。というか何か月くらいその言葉を口にしていなかったのだろう。
当たり前のように呟いていた。何かあると息をするように死にたいと口にして、自分が生きていることを確認していた。それがいつの間にか。
いや、でもきっと本当はこの三か月が異常だったのだ。正確には二か月と言った方がいいか。死んでしまおうと思っていた時期を抜けて晩秋をすぎる頃からきれいさっぱり死は僕の頭の中から消えた。忙しかったからもしれない。考えるべきことや覚えるべきことがたくさんあったからかもしれない。満たされている、というのとは何か別な力で僕はそれに没頭しのめり込み生も死も忘れていたのだ。ひどい希死年慮からくる反動として。

いままた、ふと日常が戻ってきて、僕はまた死にたいとつぶやいた。僕はいつでも死にたがっている。
今日はカメラを持ち上げる気力すら起きなかった。Uは持って歩いていたけれど、撮ろうと思いすらしなかった。いつもなら美しく映る景色がただの背景でしかなかったから、カメラを触ることすらなく街を通り過ぎていく。自分の調子の悪さに気づいてしまう。
ああきっと、きっと疲れているだけなんだと、だれか断言してほしい。死にたいというのは生きていることを確認するためだという自己欺瞞のように、僕は単に疲れているだけなんだと誰か。誰か。そばにいてほしい。あなたに。