私は乙女パワー全開なので古本屋に行くと嫌がられることが多い。なんだかちゃらちゃらした女が興味もないのに入ってきたと思われるのだ。
今では親切にしていただいているある古書店に最初に行ったとき、店主のおじさんは木で鼻をくくったような態度でこう言った。
「何か御用ですか。」
「いえ、見てるんです。」
そして私は店を一回りして、何かの本を買った。
何度目かに行ったときには何を探してるのかを聞かれた。だからあるジャンルを述べた。おじさんは何冊か出してくれたけど、みんな持っていた。
それからは、こんなのが好きじゃないかと教えてくれるようになった。

ある時お店のおばさんが店に出ていた。おばさんは私をじろりと見て言った。
「何か御用ですか。」
奥から出てきたおじさんが言った。
「ああその人はいいの。」

秋葉原の高架下で電子部品を探しているときの感覚。あのぬるりとした空気をかき分けてまるで何事もなかったかのように、素知らぬ顔をして、必要以上の無関心も親切も受け入れ同時に拒否して。