ある日突然見えてくる景色を指で追いながら、じっとその時が来るのを待っている。ことばはまた何かを恐れて腹の中で沈黙し続けていて、僕はカメラを持ち上げたりおろしたりしながら、ぼんやりと時を過ごしている。

その時がいつ来るのかは定かではない。一年後か、十年後か、それとも死んだあとなのか。わからない。ただ、いずれやってくるだろうという漠然とした思いだけが僕の指をきつく握りしめている。靄が晴れるまで待つしかないのだろう。