自転車で50kmほど走ってきた。久しぶりにそれなりの距離をただ淡々と走ったような気がする。走行時間が2.5時間ほどだったので時速20kmくらいでノンストップ。河原沿いを走ってきたのでそんなもんだろうと思う。
暖かい日だった。風が柔らかくて気持ちが良かった。きっと出不精になっていたのは寒かったからなんだろう。道すがらあまり物事を考えなかった。ただ走っていただけだった。行きは追い風だったせいもあるのか、漕いでも漕いでも脚に返ってくる反応が薄く、とても気持ちが良かった。するすると前に進む感覚。どこへでも行けそうな感覚。気づけば畑の中を走っていた。桜がそこかしこに咲いてその下でまばらに人がお茶を飲んでいたりしていた。
それが帰りはひどい向かい風で、天気が良いせいかひともおおくなかなか前に進まなかった。進まないというのはストレスだし疲れを加速させるのだ。見慣れたよく走る景色に戻ってきてようやくスピードに乗ることができるようになって、一年ここにすんでいるということを思い出したりした。好きな街ではない。でも、もう十分に慣れ親しんだ景色があることを知る。
いつものパン屋で好きなパンを買い、部屋に戻る。窓を開けると白いカーテンが風に揺れる。窓際に腰掛けてドリップしたてのコーヒーとパンを食べる。いつもの休日。穏やかな、一年間僕が守ってきた休日。また今年もすこしずつ少しずつ変わっていくことはわかっているけれども、この時間は大切にしたいと願ってやまない。