ゆめみがわるかったんだ、と早朝の寝床の中で呟きながら僕は時計を見上げる。起きるべき時間から逆算して後に時間は眠れる、と頭は意外に冷静に判断する。僕はため息をひとつついてうさぎのぬいぐるみを抱き寄せる。
うさぎさん、すごくしあわせだったんだ。だけどかなしいよ。
かなうはずがない。ただ僕の独りよがりでしかない。諦めて頭でも理解して手放したはずのおもいがまだしっかりと心の中に根を張っていて、夢にまで現れたことに僕は困惑してわらった。夢にまで見るなんて。そして幸せな気持ちで目覚めるなんて。
幸せの余韻とむなしさで僕は起き上がれない。ため息をついてまた目を瞑る。夢から醒めたくない。夢なんて見たくない。