調子が悪い。
眠れずに闇の中でごろごろと何度も寝がえりを打つ。ここのところ寝つきが浅く、眠りも浅いせいで毎日頭が痛い。まだ動けないほどではないけれど、いろいろなことがめんどくさい。調子が悪いのだ。そういう日もある。
僕は憎しみをはきだしたくてたまらない。呪詛の言葉とともに誰かを傷つけたくてたまらない。好きから一転してその誰かを選定するわけではなく、ずっと嫌いだった人をもっと嫌いになるだけだと言うことになぜか僕は一つ安心して、そのことに戦慄する。好きと嫌いの間を大きく振れるほど誰かに近付いているわけではないから当たり前のことだとは分かっていても、嫌いになるほど知ってもいないのにどうして殺してやりたいほど憎いのだろう。時々僕は僕自身のことが分からなくなる。
目を閉じて一日の行動を思い返す。記憶は時間によって薄くなったり濃くなったりその密度を変えるけれど、欠落はない。矛盾もない。そのことを確かめて僕は安堵する。僕は僕のまま変わらないけれど、誰かが言ったように多重人格ではないし、少なくとも好きだと思う気持ちで自分自身を狂わせてしまわない程度には心のバランスを保っている。大丈夫。全然大丈夫。生きていて大丈夫。ただちょっと疲れてるだけだ。