はじまらない物語集

はじまらない桃太郎

昔々あるところにおじいさんとおばあさんがおりました。おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川に洗濯へ行ったところ、おりしも鉄砲水がおばあさんを襲い、なすすべもなくおばあさんはどんぶらこ、どんぶらこと流れていってしまいました。おしまい

はじまらない浦島太郎

ある日浦島太郎が海岸を歩いていると子どもたちが亀をいじめていました。騒がしいことだなぁと思いながら太郎はその横を通り過ぎ、いつものように釣りに行きましたとさ。めでたしめでたし。

はじまらない赤ずきん

赤ずきんちゃんはある日おばあさんのお見舞いを頼まれましたが、めんどくさかったのでとおりかかったおじいさんに贈り物をあげてしまいました。おじいさんはいそいそと森の中の一軒の家に住むおばあさんのもとへ行き、ピース、と言いました。おばあさんはビール、といいましたとさ。めでたしめでたし

はじまらない舌切雀

あるひすずめがノリを食べてしまったので、いじわるばあさんはすずめの舌を切ってやろうと庭に走り出ましたが、うっかり転んだ拍子に自分の舌をかみきってしまいました。ピース、と雀は言いました。ピース。おじいさんも答えました。おしまい。

はじまらないカチカチ山

ある日おばあさんはたぬき汁を作りました。おじいさんは喜んで食べました。
翌日今度はおじいさんが兎汁を作りました。おばあさんは、明日は爺汁だねぇ、と言いました。夜のうちにおじいさんは逃げ出し、事なきを得ましたとさ。おしまい。

はじまらない泉の精

木こりは働きませんでした。ガッシボカ、ニート(笑)

はじまらないうさぎとかめ

亀さんはレースの出場通知をもらいました。喜んだ亀さんですが脚が遅いのは自覚しています。そこでスタートは五日後だとわかっていましたが、すぐに出発することにしました。空に月が出ている気持いい日です。亀さんは一歩一歩、ふみしめながら走りました。毎日、毎日、休みなく走り続けました。
しかし、会場について見るとどうやらひっそりとしているようです。亀さんはおかしいなと首を傾げ、会場の隣にある田んぼで暇をつぶしているかかしさんにレースのことを尋ねました。今日、レースがあるって聞いたんだけどかかしさんはしりませんか。カカシさんはバカにしたように鼻で笑い、レースは昨日だよ。ウサギさんの優勝さと答えました。亀さんは愕然としましたが、同時にひどく悔しかったので違いますよ、と思わず言ってしまいました。
違いますよ、僕はかかしさん、走りませんかって聞いたんです。かかしさんはにやにや笑うばかりです。


いろいろひどい。