ミニマルコミュニケーションだけを身につけてしまった。ほんの少し大げさな表情と手振りだけで完結するコミュニケーション。言語など何一つ必要なく、接触もまたミニマルである。人は近づきすぎず、そして遠ざかり過ぎない。一瞬のすれちがいがあるだけで、そこに軛は存在しない。日々の生活の糧を得るためだけのつながりの中に僕はいて、それ以外の関係性を欲せず、また維持しようともしないのだった。水黴を思う。ひっそりと静止した世界の中にどこからともなく現れ浮遊するそれ。寄る辺はなく、また激しい流れの中に出て行くこともできない、水黴。ふゆうする。浮遊し続ける。