最近見た映画

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アリスのままで。学者が若年性痴呆症を発症して病気が進行していく様子が淡々と続く。当人が予測しているようにボケは進まず、したがって本人が本心で望んでいたような人生の幕引きはできないわけだが、それでも最後は幸せそうに終わるからなんか切なかった。
面白かったのはアリスが認知できなくないところはカメラもフォーカスをあわせず最大限にぼかしてるってところだなぁ。もちろん内容もいいんだけど、画の作り方がものすごく考えられている。
あんまりジュリアン・ムーアってすきじゃなかったんだが、この映画に出てくるアリスはボケてもすごくチャーミングでそういうのを演じられるのはやっぱりすごいんだろうな。最初の頃のバリバリな仕事ができて気が利いて意思は強いけど物腰はやわらかな、いかにも「超できる女」だったアリスが少しずつ変わっていくんだけど最後までチャーミングなところはそのまんまなんだよなー。すごい。

三女が一番きれいだったので最後は一番の理解者になるんだろうなと思ったがやはりそのとおりだったね…



映画「クロニクル」予告編 - YouTube

お次はクロニクルだ。だいぶ前の映画なのでまぁ構わずネタバレもするが、これは予告が傑作、本編は名作でしたね。予告すごすぎだろう。あと主演のひとがあまりにも美しいのだが一体何なのか…(堺雅人にもちょっと似てる)

一歩汚い自室からでると氷のように冷たく厳しい世界しかないと思っている(思っていた)若者(あるいはかつての若者)には恐ろしいくらい感情移入ができる映画だ、と僕は思った。いとこのマットだってずっと車で一緒に登校はするけど、車から降りるのは一緒じゃないし、学校でもまったく絡みがないくらいアンドリュー(主人公)を避けているのだから、途中で二人の関係性が決裂するのはしかたがないよなと思う。ただでなくてもマットはアンドリューがほしいものを(本人は努力してると思うが)ちゃんと手にいれていってるわけで、それはもうどれだけ親しくなったって氷の世界で生きてる人間にはうけいれられないよ、と。


超能力を手にしてからしばらくの三人の馬鹿騒ぎはほんとうに楽しくて(しかも主演の人の笑顔がかわいくて完全に殺しに来てる)それが悲しい。スティーヴがいいやつなんだよなあ、ウィットがあって明るくって優しくって、世の中に冷たいものがあるなんて全然知らない感じが救われるんだけど、でもすんでる世界が違うから結局噛み合わないんだよ。その世界に最短距離で行こうとしたらやっぱり失敗するんだよ。
あと、毒親持ちの中でたいてい語られる「親との対決」シーンがあるのだが、あの結果はやはりあの結末しか産まないよなと僕も思った。だって今までの世界がひっくり返るんだからさ、急には心が追いつかない。世界がひっくり返って平静でいられるのなんて出来の悪い物語の超人的主人公だけだ。勝ったぜやったーではすまないし、十数年人を見下してきた人間はそんなに簡単に変わらない。それで全て解決するなんて幻想を抱いているのは温かい世界の住人だけだ。「アリスのままに」でアリスがボケたあとの世界を想像できずにずれたことをしたように、温かい世界の住人がみる、みじめな人々の世界はやはりずれている。そこにいたら自力で、苦しみながら這いずりまわるほかない。失敗して、苦しんで、苦しんで、苦しんで、諦めて受け入れて、自分の頭で考えて歩いて行くしかない。人並みとは言わなくても幸せになるには自分の足で立って、手を動かして、そして極端な思考に傾かないように注意深くなるほかない。そういう話でした。




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で、これはわりとどーでもいいんだが、っていうか何なのこの穴だらけの設定は!ツッコミが追いつかない…!なのだが、でもこの子はホント綺麗だなぁ。もうちょっと歳とってほっそりしたらヤバイ美人になりそう。ポストナタリー・ポートマンだろうね(スキャンダルがなければ)