湿板教室行ってきた

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見つけて以来ずっと「絶対行く」と言ってましたが行ってまいりました。


感想:ヤバイ

そもそも湿板ってなにかっちゅーはなしですが、ものすごーく簡単に言ってしまうとデジカメの三世代前の撮像素子のことです。ひと世代前がフィルム、ふた世代前が乾板、三世代前が湿板。もちろん他にもいろいろあるのだが(鶏卵紙とか)、広く使われたという意味では湿板はデジカメのひいおじいさんです。

でーなんで湿板っていうかというと、その名の通り記録素子が濡れているからなのです。ものすごく大雑把に説明すると、基礎となる板の上に膜を形成してそこにイオン化した銀を付着させ、それを感光させると絵が記録できる(銀が化学反応する)っていうのが写真なわけだが、基礎となる板の上の膜をゼラチンにするまではイオン化した銀を乾燥した状態で付着させたうえで感光させる方法がなかったわけ。そんでじゃぁ濡れたままやるしかないよねってことでやってたのが湿板です。
日本だと幕末頃にこれが主に使われ、その後明治の半ば辺りから乾板にとってかわった。乾板のほうが持ち運びが便利だからね。その後1900年頃からフィルムが出てきて大正にはいると乾板とフィルムが混在し徐々に乾板は写真館でしか用いられないようになり、戦後は完全にフィルムが乾板を圧倒、そして2000年ごろからフィルムはデジタル素子に駆逐され今に至るというわけ。けど、湿板ってのは化学薬品があれば誰でも(知識があれば)作れるので、乾板と比べれば復活しやすいんですねー。フィルムが絶滅したら銀塩をやりたい人は湿板をやるしかないのであーる。未来の為に今のうちに習っておこう!


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というわけで自分たちでガラスを削り、コロジオンを塗布し、硝酸化銀溶液に浸して湿板を作成。


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そして撮影。8x10!!!機材は明治頃のものです(!!!)やばい。鼻血出る。

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そして楽しい楽しい現像後、ニスを塗って仕上げるのです。

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やばーい。ちょう楽しかった。というかねぇもうねぇ、銀はいいよ、銀は。ADOXのシルバーマックス使って以来ずっと言ってますけど、写真は銀の含有量ですよ。繊細すぎるトーンに惚れ惚れする。ヤバイ。超やばい。あと先生が上野彦馬に詳しすぎてヤバイ。かなり参加費は高いけど、でも絶対それ以上の価値はあると思うのででかい記録素子、古い写真、ヤバ過ぎる画質に興味がある方はいつか参加してみることをおすすめします。はーやばかった。


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行ったら突然のテスト撮影に巻き込まれた。これは表面が黒いアルミの上に膜を形成してるのでちょっとガラス湿板とは質感がちがうのだが、問答無用でいい。すばらしく、いい。筆舌に尽くしがたいほど、いい。600dpiでスキャンしてみたけど良さは全然伝わっていない気がする。となりはアリス研究家の桑原先生です。