誰にどうしてほしくて書くのか

破滅派が合評会っていう面白い取り組みをしており(一位になると一万円もらえる)、今回のお題が「パリでテロがあった」だったので参加してみた。
破滅派合評会 / JOINT REVIEW | 破滅派|オンライン文芸誌

俺のはこれ。
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パリのテロっていってもいっぱいあるのであれなのだが(WW2のレジスタンス蜂起もはいるのか?)、2015年の冬のテロのときにロンドンにいてものすごい量の一次情報に触れたのでひねらず書いた。
ナディンのモデルは中越戦争中にベトナムからパリに移民した知り合いの写真家、の子供時代。着想は、パリで爆発があったとか死傷者が多数出てるというニュースが出て、テロかどうか明言を避けつつ慎重にフランス政府が情報を発信してる中で(シャルリーの件があったので当時は結構慎重だった)オバマがいきなり「これはテロだ。人類に対する攻撃だ」とか言い出してこの無神経野郎と切れたのがきっかけです。長くないのでどんな話かは読んでからのお楽しみ。もうちょっと字数制限が緩かったら良かったんだけどねぇ


さて、合評会の方は初めて参加したので色々勝手がわからず、その上雰囲気が俺の知ってるオフと違う…!怖い…!だったので、「あっそういえば俺コミュ障やった最近しゃべれないのが普通すぎて忘れとった」となりましたが、まあまあ楽しかったです。
で思ったのだがそういや誰も「想定読者」の話をしてなかったな、と。
俺は承認欲求魔で増田作家歴がながいので、ネットで書く時はだいたいどうやってアクセスを集めるかを念頭においた設定づくりをする(必ずしもいいことではない)。で、そんときの想定読者の設定も一緒に作るわけですね。想定読者の設定を作る時に考えなくちゃいけないのは、

1. 想定読者とは誰か
2. 読んだあとにどういう行動を取るのか

っていうたった二点だけ。
ひとつめの想定読者は「三十代男性」とかいう大雑把なやつではなく「機能不全家族の中で育った、人生がうまくいかない理由が承認欲求をこじらせているせいとわかっている二十代後半から三十代前半の女性」とか「初心者向け一眼レフかミラーレス一眼を一台くらい持ってて一年か二年くらいそれなりに撮影して時々褒められることもあるけどなんか自分の写真がイケてない気がする、どうにかしたいと思っている人」とかくらい詳細なほうがよい。今回の合評会で俺が設定したのは「オバマ」(おい)もしくは「ヒジャブ・ニカブ・ブルカなどのイスラマの服装は女性に対する抑圧でありイスラム女性は男性に抑圧されているせいで主体性を持っていないと信じて疑わない、ある程度社会学に興味のある人」である。ちなみに今回の合評会に上がった作品では想定読者がそもそも設定されてない作品もあったような気がした。

ところで最近ありがたいことに記事作成の依頼をいただくことがあるんだが、想定読者が「普段料理をあまりしないしあまり料理が得意ではない忙しい人」なのに「鉄のフライパン」とかいう縛りをつけると(俺のせいだよ俺の)、そもそも忙しくて料理あんまりしないし興味ない人間が鉄のフライパンを買うのか? どういうやつなんだ? と非常にブレブレになるので気をつけましょう。料理の経験値が低い人にはテフロンをすすめるべきであった。


ふたつめのほうは、ネットだと「ブクマされる」とか「Twitterでバズる」とかになりがちだが、創作ではあまり考えられていないような気がする。どう解釈されるかを気にする人は多いのだが、その解釈をしたあとにどうなって欲しいのか? どう感じてほしいのか? というところまで詰められてないような…まぁ俺もなんですけどね。まぁでも今回は一応想定してて「そうだそうだライシテはクソだと言わせる」または「ザ・ノンフィクションのphaさん回を見たあとのような複雑な気持ちにさせる」だったので、コメント見る限りはまあまあ成功したようです



創作でも実話でも、読んだ人が「文章自体はわかったけど、全体的なテーマがよくわかんなかった」「なんでそうなるのかついていけない」「興味が持てない」ってことはかならずあるわけです。興味はあるのだがわからないっつ―場合は何度も読むんでいいんだけど、興味もないしよくわかんないって思われてしまうのは存在してないのと同じだと思うんです。興味もないしよくわかんないっていう反応しかないならそれは想定する読者がいないところに投下してるか、そもそも存在しない読者を想定しているか、のどちらかだと思うんだよねぇ…まぁこのへん難しいんだけど人様にむけて文章を書くならちゃんと考えないといけないんじゃないかなあ。純文学にありがちな「So what?」な退屈さとか、SFにありがちな「設定並べただけじゃん」感とか、想定読者が設定されてないか、存在してないせいで醸し出されてるんじゃないだろうか。それを文学性というのもいいんだけれども、僕は存在する方を選びたいです。




あーで、今回の合評会のやつ(一部)を紹介して終わろう。

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破滅派幹事の高橋さんリア充こわい)の。まーさすがに文章うまいんでさらさらっと読めるし、描写に身体性があってよい。ご本人はテロ感とパリ感をだしたかったとのことで、たしかにどっちもある。さすがだ。
ただ俺これが妄想なのか現実なのかよくわかんなかった。現実だとすると広場を突っ切って逃げなければならないような場所って多分コンコルド広場くらいしかないとおもうのだが(戦争や革命じゃなくてテロだから細道にはいって迂回すればいい)、コンコルド広場にはヴェリブ置き場がない。じゃぁ妄想なのかと考えると、少年の行動が控えめすぎてそんなに自己評価が低いのだろうかと気の毒になる。ようよう生還したのに妹になじられるのもわからない。というわけで妄想かなと思ったのだが、一応現実のつもりで書いたようだ。現実のつもりで書くなら、今時グーグルマップやCitymapperみたいなアプリで自転車ポートの位置や地形や通りの状況なんかを簡単に調べられるのだから、よりリアル感を高めるために手間を惜しむべきではないと思う。


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こっちは最初なんでパリが関係あるのかと思ってよくわからなかったのだが、タイトルが肝だったらしい。もったいない!どっかにちょっとかいといてくれたらよかったのに!完成度は一番高いと思います。



次回のお題は「誰も悪くない星間戦争」なのでSF書きは参加しようぜ!(破滅派の想定読者にSF読みは入ってない気がするけど…