6. ちょっと足りないくらいがちょうどいい。1/3の万能な法則

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どうもこんにちは。今回も構図のお話です。前回は写したいものはど真ん中に映せばイインダヨー、という話をしましたが、今回はそこからちょっとずらしてみようというお話です。
なんだか矛盾するようですが、前回の「日の丸構図」で再三書いたとおり、ど真ん中に持ってくる被写体は単体である程度魅力がなければなりません。じゃぁ、そうじゃない被写体だったらどうする? 
もちろん撮らないというのもひとつの選択肢ですが、いつでも使えるオールマイティーな構図を知っておくと便利ですし、写真の幅が広がります。1/3はそんな構図です。

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この写真は横のラインで3分割されています。手前の灰色のブロック、中間の石ころ、奥の川の三つですね。こんな風に三層にわけるのも言ってみれば1/3。どこかに1/3の要素があれば、もうそれは1/3構図です。
1/3というと3分割とか3分割交点とか三角うんたらとかいろいろありますが、覚えておくのは1/3だけ。そうです、難しく考える必要はないんです。

では1/3を使って色々見て行きましょう。

1. 画面を3分割する

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上の例もそうでしたが、今回は川と陸地の境目が下の1/3あたりにあります。空が若干広めですが、雲の重なりが終わるのが上1/3の境界辺りなので、だいたい画面が3分割されている写真と考えてよいでしょう。
この方法の良い所はそれぞれの層に違うものを入れられるということ。三つ違うものを見つけ、それが均等に収まるようにするとこんな構図になります。
注意したいのは層が斜めになっていたり平行でない場合です。その場合はこれから説明する1/3の技法を試すか、すこし違ったアプローチをする必要があるかもしれませんね。

正方形の構図でもこの方法は有効です。
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第一層が人、第二層が緑、第三層が空……日の丸構図からちょっとずらしただけですが、見せたいものを全部写したいという欲張りさんには非常におすすめです。

2. 1/3のあたりにピントや被写体を置く

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絞りを開けた場合のピントをどこにおくか、という単純な話です。奥場所は横方向の1/3ラインでも縦方向の1/3ラインでも、あるいはその両方であってもよいです。この作例だと両方の1/3のところにピントがあっています。


絞りを開けて背景や手前をぼけさせるときに、どこにピントを置くかというのは結構難しい問題です。理想的には適切にしぼりを開けて被写体全体をぼかさずに写し、残りはぼかす、というのが良い写真なのでしょうが、初心者や中級者ではテクニック、あるいは機材の問題でそういう写真が撮れません。でもそんなときも私たちにはあれがあります。

そうです。

1/3です。

3. 消失点が1/3あたりにある

さてちょっと難しくなってきましたが、景色が集束する点、消失点を考えた場合です。
人というのは不思議なもので、無意識のうちに消失点をみつけだし、そして奥行きなどを計算する才能が備わっています。なのでこれを写真に取り入れると、非常に立体感のある画になるわけですね。

御託はいいので例を出しましょう。
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この写真の消失点は回廊の一番奥(と思われる場所)、もっとも暗くなっているところです。人が多くて散漫になりやすい場面ですが、消失点を左から1/3、下から1/3のところに置き、右側に余白を大きく取ることで奥行きを出しています。
ただここで手前の人を1/3の場所に置くのももちろんありです。どんな写真を撮りたいかとか、どこに自分が一番目を引きつけられたかなどで選べばよいのではないでしょうか。

4. 1/3だけうつす

全部映すとやぼったい、そもそも全部映らない、という場合などに使いますが、あえて一部分を映すことで造形美や想像力をかきたてる効果もあります。トップ写真もこの1/3技法を使用しています。
ちょっと上級者向けかな? でもつかえるようになると急にレベルアップした感じがするとおもうので、いつもの撮影のときにでもちょっと試してみてくださいね。
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5. 1/3から1/3へ、点と点をつなぐ

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人物は左側の1/3あたり、バスは右側の1/3あたりです。どちらも下から1/3のあたりにいるため、非常にまとまりがよく感じられる写真です。そしてお互いに向かい合っているので、視線の動きを簡単に想像できますね。
点と点をつなぐことで視線が動きます。視線が動けば動きや奥行きを感じます。

この構図は人や動物やあるいは目があるものが被写体の場合に適応するのが簡単だと思います。目が向いている方向に何かがあれば、そこに何かしらの関係性が見えるからです。たとえばお子さんを撮る場合に、お子さんが何かを見ていれば、お子さんを手前(または奥)の1/3、対象物を反対側の1/3の点に入れてみましょう。ぐっと表情が生きてくると思います。もちろんどまんなかに顔をアップで映すのもよいですが、たまにはちょっと試してみてくださいね。



というわけで、多分一番多用する1/3の万能の法則でした。1/3構図は失敗も多いですが、撮ったあとから編集するのもそんなに難しくないので、なんだかうまくいかなかったなーという時はちょっと1/3に気をつけて画像編集をしてみてくださいね。きっと見違えるほど良くなると思います。
では次回もお楽しみに!