不意に過去がよみがえることもある。

時々自分の口調がきついらしいと相手の表情をみてわかる。かなり言葉を選んで口調を気をつけていても追いつめていることがある。生意気なことを言ったらむっとされるか笑われるかどうしたものかという顔をされるだろうに、泣きそうな顔をされるとどうしたらよいかわからない。別に正しいことを言ってるわけでもなかろうに。
そういえば僕もそんな顔をしていたのだろう。機嫌が悪い時に頓珍漢な事を言えば何時間でもいかに人間として価値がないかについて質問で追い詰められながら正論でやり込められ、最後には項垂れるしかなくなる時間を長く過ごして僕はそれに慣れてしまった。そういえばそういうときは冷や汗を大量にかいて、口の中が乾き、手が震え胃が空っぽな錯覚を覚え、歯のかみ合わせがおかしくなるのだった。それも何度も続いてくれば耐性ができてくる。ある程度の暴言に対しては暴言を取り除いて必要な部分だけをピックアップするフィルタが自分の中にできてしまう。それでも確実に精神は蝕まれている。そういう。

人がきついと感じる言葉を、厳しいと思う感覚を、それがどのレベルかを知るたびに自分とのずれに驚いてしまう。今はまだいいけどこれからそれで誰かを追い詰めてしまうことにならないか心配でならない。誰かが誰かを追い詰めたり怒らせたりしているのはわかるのに自分がやってるとわからないってどういうことなんだろう。