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写真を前にするとなんだかとても無力になってしまったような心地になる。多分疲れきっているのだろうが、しばらくはホルガで適当に撮って遊ぼうかな。そういう時期も必要だよね。


ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室

ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室

さて、ところでこれを読んだ。前からTwitterで鳥の丸焼き大爆笑編をみたりしていたので読みたかったんだが、えいやーと買ってみた。本を読むには気力がいる。特に小説はKindle for Cloudで読めないのでちっさいアンドロイドの画面で読まなくちゃいけないからつらい。自分の話を確認する用だったらそれくらいの小ささのほうが誤字脱字を見つけやすいんだけどね…

閑話休題

消費者は一つのブランドに固執するか、最も安いものを買う選択はするけれど、複数のブランドを味見しようと考える人、あるいは、次々と試してみる人は稀なのだそうだ。

僕は違う土地に行くとまずスーパーを探検する。日本でも海外でも、だ。アメリカでもいろんなスーパーにいった。ベイエリアで多いのはTarget, Safeway, Trader Joe's, Sprout Farmer's Market, Whole Foodsなどとオーガニック系のスーパーで、一番庶民的なのがSafewayとTarget(冷凍食品が多め)、安めのオーガニックがTrader Joe's、生鮮野菜が多いのがSprout Farmer's Market、Amazonと提携したことで有名なWhole Foodsは高級スーパーである。ちなみにどれに行っても調理済み食品はかなりの確率でまずい。高いもののほうがまずい傾向が強く、一番美味しいのは素材そのものである。僕はそれぞれのスーパーでだいたい「いつもの野菜」と「いつもの主食」を買って、基本的に同じレシピで食べ比べをした(イギリスにいたときも同じことをした)。


Whole Foodsのスパークリングオレンジジュースは変な甘味料の味がするからNG、リモナータとアランチアータ(どちらもサンペリグリノが製造元である)の味はイギリスで売ってた瓶のとちょっと違って薬っぽく、成分をみるとリモナータにも甘味料が入っている、塩がまずいのはつらいのでシーソルト。Targetにあったオーガニック砂糖はまずくて死にそうだけどホットケーキミックスは悪くない、そのかわり高いWholeFoodsのホットケーキミックスはサイアク、ちなみに小麦粉もイマイチ。ホイップ済みのバターは味がないけどグラスフェードの有塩バターはなかなかいける、Safewayモッツァレラチーズは数日経つと苦くて食べられたもんじゃないが、ブリはなかなかいい。Safewayのフォトジェニックなミニキャロットは甘くておいしいし、ゴールドベビーポテトはローストすると最高。Whole Foodsの泥がついてるマッシュルームは香りがいい。パック入りのベビースピナッチはなぜか一週間しなびないけど大丈夫なのか?どこでも売っている瓶入りの刻んだニンニクは全然香りが出ない、蟠桃を買うなら断然Safeway、イチジクはWhole Foods、肉はどこで買ってもさして変わらない、Whole Foodsのお惣菜は結構イケるけど味が濃いのでいっぱい詰め過ぎたらだめ、スープは甘すぎるか塩辛すぎて微妙、片っ端から試した結果、チーズ、ハム、クッキー類はWhole Foodsが一番充実しているが、コーヒーはTargetが一番コスパがいい。Targetで買える唯一の生鮮食品はホイップされたフィラデルフィア、パンはイギリスと同じのかまずいのしかないから自分で焼くしかない、みたいな(だから太るんだよ)


でもこれってみんながするわけじゃないんだよね。一緒に行ってた上司が全然料理できない人で、日本から奥さんがくるまでなにを食ったらいいかわからない!と言うのでスーパーについていってやってた(えらそう)んだが、とりあえずトマトとニンニクとオリーブオイルと塩コショウがあればパスタくらいはできるっていってもやり方がわからないといって冷凍食品を買うのである。僕はびっくりした。ピザくらいならまぁ生地作るの面倒だし冷凍でも仕方ないかなと思うのだが、パスタだぞ?十分もあればできるぞ…
ちなみに俺がスーパーに連れて行くまでは日本食スーパーでカップラーメンを食ってしのいでいたらしい。日本の二倍くらいの値段がするのに、だ。



同じような状況が本の中にもあった。



逆の状況もみたことがある。この間素麺会(くわしくはこちらこちら)に呼んでいただいたのだが、主催者のぶち猫さんや小林銅蟲先生をはじめお料理クラスタの方々は料理の魔改造を厭わない。誰も何も言わなくても勝手にエビのスープをローストビーフにかけたりするし、めんつゆに違うものをいれたりする*1。新しい味を開拓することになんの恐怖も抱いていないのだ。



本を読み終えてからなるほど、と思った。しかしなぜ2パターンの人間がいるのかはよくわからなかった。知らないから? 怖がりだから? 食に興味がないから? それとも味がわからない? だから味を開拓したがらないし、したがって味の比較もしない?
それに食に興味があるからといって、成功するとは限らない。好奇心があるからと言って、なんにでも積極的に取り組めるわけではない。成功体験がどれだけあっても自信がなかったり、人生に前向きになれなかったりするのが人間だ。この本の中に出てくる十人の女性の大半の人生がうまい方向へ動いたのは、なにも料理教室に通ったからだけではないだろう。もともと彼女たちは成功する素養があって、料理教室であと一歩をすすむ自信や、新しいものに対する恐怖を克服したからにすぎないのだと思う。


Artiste (1): バンチコミックス

Artiste (1): バンチコミックス

前にも紹介した気がするが今連載中でおそらく二巻に収録されるだろう第九話がとてもいい。料理は日常だけどアートでもある。テーブルフォトが苦手で苦手で盛り付けとかどうすりゃいいんだってずっと思ってたけど、ああ、写真と同じと考えればいいのかと腑に落ちた。早く二巻発売されないかな。

*1:ちなみに俺はすだち素麺のタレとぶち猫さん製食べるラー油を混ぜたのが一番お気に入りだった