4. かっこいいモノクロ写真が撮りたい! 明度と彩度と輝度について知ろう

さて、今回は意外に写真を撮る人の間でも話題にならない、明度・彩度・輝度の話をしていきたいと思います。

明度・彩度・輝度の違いって?

明度は字から分かる通り、色の明るさのことです。明度が高いほど淡い色になり、明度が低いほどくすんだ色になります。
では彩度はなんでしょうか?

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色の鮮やかさ、と考えるのはちょっと彩度を誤解しています。彩度は白や灰色や黒などの無彩色とどれくらい異なっているかを表す尺度です。つまり、彩度が高いほど無彩色に遠く、彩度が低いほどモノトーンに近いということです。

じゃあ明度と輝度の違いは?

明度は明るさの度合いのことです。じゃぁ輝度は?同じじゃないの?と思われる方もいるかと思います。確かに明るさの指標なので混合しやすいですが、明度と輝度は明確に異なる定義があります。

画像処理ソフトを使っている方にはお馴染みのRGB。これは赤・青・緑のそれぞれの頭文字を取って呼んでいるもので、色の構成要素のことをあらわしています。なんだか難しい話になってきましたが、要するに赤・青・緑の割合で存在するすべての色をつくることができるよ、ということです。

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さてこのRGBを使って明度と輝度は定義されています。一応式をかいてみましたが、全く覚える必要はありません。ただ違うということがわかればよいです。

明度:RGBのそれぞれの数値のうち、最大値と最小値の平均をとったもの
輝度:赤x0.3 + 緑x0.6 + 青x0.1


不思議なことに赤・青・緑のうちの二色の割合で明度は決まってしまうらしいです。色味は変わるけど、明度は同じ…わかりにくいですね。まぁそういうものだと思ってください。
一方輝度の方ですが、人が感じる色の明るさに最も近くなるように重み付けがされています。緑や黄色は明るく、青は暗く感じる、というのは直感的にもわかりやすいですね。それもそのはず、人間の目は彩度と輝度で色や明るさを感じるからです。

というわけで明度が同じ色の例と輝度が同じ色の例をできるだけ近い色で作ってみました。

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明度が同じ例
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輝度が同じ例

どうしても同じにならないものもありましたが、特に赤や青に近い色では明度と輝度に違いがあるのがお分かりいただけるかと思います。そして輝度の例にでているものがほとんど同じ明るさに見える…はず?多分見えるはずです。

モノクロ写真と明度と輝度

モノクロ写真というのは彩度が全くなく、モノトーンだけで表現されている写真というのはもちろん皆さんご存知ですね。ではモノクロ写真は明度で表されているのでしょうか、それとも輝度でしょうか?

正解は輝度です。

白黒フィルムまたはカメラの白黒モードなどで撮影する場合、出来上がった画像は輝度差が白黒の濃淡としてあらわれます。つまり、被写体と背景の輝度が近いものを撮影すると、思ったより地味だったり、何を撮ったかわからない…なんてことが起こりうるわけです。

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この写真は椿を撮ったのですが、鮮やかな椿の色に対し、背景の植え込みの緑色はくすんでいて、彩度だけで考れば椿がとても目立っていました。ですが、緑は赤に比べて明るめに感じられる(輝度が高い)ため、くすんだ緑色と椿の赤い花の色の輝度はほとんど同じだったようです。大失敗ですね。

ちなみにこちらは成功例。赤と緑の明度は同じくらいですが、カラーなので問題ありません。
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白黒で撮影する場合はカラーフィルターをかけるなどすると、赤が明るく見えたりすることもあります。試してみてください。

逆に、カラー写真を撮ったあとに白黒に変換する場合は明度を考えなければなりません。頭のいいソフトウェアだとちゃんと輝度で変換してくれますが、フリーツールなどでグレースケール変換を行ったりすると、明度で白黒が算出されてしまうからです。
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この写真は東京駅で行われていた東京ミチテラスの様子ですが、白黒にしたとたん見事にライトアップの色が消えてしまっています。これもモノクロ写真としては大失敗です。

ちなみに白黒でライトアップを撮る場合もうまくやれば下のようになります。
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白黒写真だけに絞って説明をしてきましたが、カラー写真でも実は輝度って結構大事です。構図も露出もちゃんとしているのになんとなくぱっとしない写真だなぁ…という場合、その原因は写真の中にうつっているものの輝度が全てだいたい同じせいかもしれません。あまり輝度差がないような場合、被写体に光をあててみたり、背景を暗くしたり、あるいはカラーフィルターをかけるなどすると劇的に写真が変わることがあります。ちょっと気に留めてみてくださいね。



では今回は難しい話でしたが、これは輝度の違いかな? 明度の違いかな? というふうにいろいろ探してみてくださいね。白黒写真に挑戦したいと思った時はちょっと思い出してみていただければ幸いです。
次回もお楽しみに!