7. そうだ、斜めにしよう。小ワザで決める斜めの技法

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寒い日が続いていますが皆さん写真を撮りに出かけていますか? 冬は寒いしすぐに日が落ちるのでカメラを持ち出す頻度が下がってしまいがちですが、空気が澄んでいるので夕暮れは一年で一番きれいに撮れる季節です。天気がよい日の夕方はちょっとお散歩がてら撮影しに行ってみてくださいね。(注:この記事は2015年に書かれたものです)

さて、構図入門第三回の今回は「斜め」をメインテーマに扱っていきたいと思います。斜めです。
いままで水平・垂直に気をつけようとしつこく繰り返してきましたが、ここにきて斜めです。

お分かりかと思いますが、水平・垂直をきっちり出すのは結構難しいです。シャッターを押した時につい体がうごいて、真っ直ぐなつもりだったのに斜めになっている…なんてことはみなさまよく経験されていることでしょう。つまり、斜めにするというのはフレーミングの観点で言えば、簡単なんです。
ただ、斜めに撮るというのはだれでもできるからこそ、はっとする絵に仕上げるのは難しい面があります。また露出コントロールや、シャッタースピードについてよく理解していないと、スマートフォンで撮ったほうがましだった…ということにもなりえます。


是非この機会に斜めについて意識して、ちょっとずつ考えられるようにいただければ幸いです。

1.斜め方向から撮影する

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もっとも簡単な斜めから撮る方法です。被写体を動かせない場合や撮影場所が限られている場合などに使います…が、一番むずかしいです。
あまり凝っていない構図というのは誰もが撮るものなので、どうしても野暮ったくなってしまいがち。撮影技術が必要です。あと余計なものをうつさないように気をつけましょう。俗にいう「一眼レフで撮ったっぽい写真」、つまり絞りを開けた写真は背景がぼけるので、余計なものが見えにくくなります。それでうまく見えるわけですね。
ただ明るくてF値が下げられないとか、明るいレンズではないとかで常に背景をぼかせるわけではないので、邪魔なものがなくなるまで待ったり、取り除いたり、レンズをかえたり、もしくは画像加工ソフトウェアで邪魔なものを取り除いたりしましょう。


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こちらは失敗作。特筆すべきことがなにもないほどごく平凡な写真です。

2. 被写体そのものを斜めにする

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力技で斜めにしてやれ! という方法です。別に真上からとか真横からなどという決まりはないですが、中心となる被写体全体にピントがあっている方がきゅっと絵が締まります。とりあえず真っ直ぐで撮ってみて、どうも駄目だな…みたいなときにちょっとやってみるのがよいと思います。これも基本的には背景にはなにもない方がよいですね。


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背景がある場合はこれくらいぼかしてしまったほうがよいです。ただ、ぼかしたものが何かわからないと、ただうるさいだけになってしまうので、そのあたりは自分がどういう写真を撮りたいか、なにを見せたいかなんてことを考えるとよいかもしれません。ちょっと上級者向けになります。

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こちらは失敗作です。
被写体は斜めですが、水平方向から見ても垂直方向から見ても斜めでとりとめがない感じです。またカメラの一部にしかピントがあってないので、だからどうした、というごく平凡な写真になってしまっています。少なくとも平凡な写真は撮れるので、すごく失敗した!ということはないんですが、でもやっぱり撮るならこれだ!という一枚がほしいですよね。

3. 並ぶものを撮影する

特に水平方向に並ぶものを取る場合はどうしても斜めの構図が必要になります。
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こうやって並んでいるものがすこしずつずれながら画面奥手に向かって続くような景色は、写真の対角線を使うとたくさん入れることができます。どうとっても斜めになるといえばなるのですができるかぎり規則正しく、そして対角線と一致するように並べると、より楽しい写真になります。

こちらは対角線の途中まで凧が並んだ写真ですが、背景がなにもないのであれば途中まででも全然問題ありません。余白の多さは好みなので、お好きにいじってみてください。
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4. 余白とそうでない部分に斜め線が引けるように調整する

ちょっといい方が難しくなりましたが、例を見ていきましょう。
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左側が元写真、右側に補助線をつけてみました。どれも余白とそうでない部分ではっきりと斜めの線が引けますね。
ちなみに斜め線がなだらかな場合は安定した印象を、急な場合はすこし不安定な印象が生まれやすくなります。動きを出したい場合などは斜めが急になるようにカメラを構えると、ちょうどいい写真になるかもしれません。

5. 道を斜めに入れる

道というのはやはり、行っては帰るものを予想させるのでしょうか。斜めの構図というのは視線を誘導する効果があり、奥行きが生まれやすくなります。その効果がまさに道にピッタリと来るのでしょう。
絵画でも多く用いられるやり方なので、昔から人間の考えることは変わらないんでしょうね。

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6. くの字を画面に取り入れる

難しく書きましたが、要するに二つの斜めの線を画面の中で意識させるようにするということです。
例をあげてみていきましょう。
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右側に補助線をつけてみました。くの字といっても必ずしも「く」の形ではなく逆向きの場合もあります。すくなくとも二本の斜め線が画面の中に存在するということはわかっていただけるのではないでしょうか。
あまり語られることはありませんが、一つの画面の中に菱型や平行四辺形または二等辺三角形などを並べる手法というのは、実は古くから東西問わず絵画に見られる構図です。それくらい自然界には多く、かつ私達が見慣れている構図だということですね。
これを写真に取り入れると急に表現の幅が広がります。

またこのように影をつかって二つの直線を意識させることもできます。

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影をつかえるようになるとかなり表現の幅が広がりますので、是非試してみてくださいね。

さらに小道具を使ってくの字を作り出すこともできます。

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六角形のお皿などは非常にフォトジェニックなので、料理写真を撮りたい方などは重宝するかもしれません。


というわけでざっと斜めの技法についてご紹介しました。いかがでしたでしょうか?これならできる、というものがもしあれば、ぜひドシドシ使ってみてください。
構図というのは被写体の良さを引き立たせるためのものです。なくても素晴らしい物は素晴らしい、でもよりよく見せたいという時にとっさにフレーミングができることが大切です。失敗をおそれずに色々と試してみてくださいね。

基本的な構図の講座は今回で一旦終わりですが、いかがでしたでしょうか?来週からはまた基本的なテクニックや、シチュエーション別テクニックなどについてお話していきたいと思いますのでお楽しみに!