SF創作講座最終回行ってきたよ~

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最後どういうわけか優秀賞をいただきました。
ほんとまじでまったく賞とると思ってなかった(題材的にもスケール的にも)のでほんとびっくりしましたが、一年間SF創作講座をやってきて「こんなのどうせ理解してもらえないんだろ」と勝手に思ってたけどそうじゃなかったんだ!という驚きと喜びが何度もあって、最後にこの題材でそれが来たのがほんとうにうれしい。今後も電子の海を漂って、もっと遠いところへ旅をしてほしいです。なんか一年ほんとしんどかったけど(全部実作出したりするからだよバカ)うれしいというか救われるというかということがたくさんあったので参加してよかったです。スシュランあたりから自分では殻を破ったなと思うんだけど、どうなんですかね?
とにかく関係者の方々、ひっそり読んでくれた方々、ほんとありがとうございました。

あと俺は結構人のこと辛口に言うわりに褒められるのは好きっていう面倒くさい性格なんだけど、けっこういろんなひとに褒めてもらえたので制作するのが少し楽になりました。しんどかったけどな。創作講座の全体を通して常に「~と読まれたけどこういうふうに読まれたい」という意思を直接表明できる場の設計があるので、すぐにフィードバックできるのがよかったのかなあ。ゲンロンは他のスクールも含めてそういう設計になってるっぽい?んだけど、そういう場ってホントはなかなかないのでかわらず維持してほしいですね。絶対にそのほうが身になるから。なんか誤読発言が問題になってるけど、読まれたいように読まれないというのはずっとついて回る問題だし、今までの講座の流れからして誤読は書き手のせいでもあるという前提があるし、さらにいえばそれが誰のせいかということではなくどうすれば解決するのかという方向で考えるためにも、カジュアルに表明したほうがおれはいいと思います。決して悪いことではないので、今後もみんなどんどん誤読って言って、どんどん誤読に付与されているハイコンテクストを削ぎ落として、シンプルな言葉を取り戻そう。人間は完璧じゃない。だからいいんです。

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講評会では飛先生がほとんどあまさず講評してくれたので(いやほんとどうしてそこまでしてくれるんだ)あんまり付け足すことはないんだけど、一応この話は

  • 家族の話ではなく抑圧または力の勾配関係で生じる加害者・被害者の関係性の話である
  • 抑圧とかあんまり興味がないという人向けには、眠れない→眠れるという状態に変化したという物語を楽しんでほしい
  • 抑圧とかに思い当たるところがあるという人は、主人公が被害者から加害者に変わり、しかしその後加害者と被害者の関係性がそのまま維持されるわけではなく、彼女が新しい関係性を手に入れるというところに希望を感じてほしい。小さいことだけど、ループから抜け出す大きな一歩だから
  • わかりやすく加害者の動機を語らないことで、「親にも愛情があるけどそれがうまく表現できなくて~」を排除したかった。いじめや犯罪被害似合ったときにそういうことを言ってはいけないというコンセンサスが確立されつつあるのにどうして家族の問題については相変わらず言われ続けるのか、俺はセカンドなんとかの加害者になりたくないし、今後は家族内の問題でもそういうのはだめだよねとなっていってほしい。
  • そして機能不全家族をテーマに扱うと必ず言われる「わかりやすい救いを作って欲しい」「わかりやすく変化したところを書いてほしい」「わかりやすく親と対決して決別してほしい」という訴求を全面的に拒否したのがこの話の結末であって、これを不満に思う人もいるだろうけど、そうやってわかりやすく書くことがいかにいままで経験者が傷つけたかということはわかってほしいと思う。現実はそんなに簡単には変わらないし、変わったとしてもわかりやすくはない。ほんとうに小さな変化が後で思い出したときに分岐点になることがある。それを書きたかった。分かる人だけでいいんだけど
  • 毒親話よくある問題だけど、基本的にはエッセイのものは「過去になにがあったか、自分に今どんな影響があるか、どう対決するか」というところに焦点が当てられているものが多く、その後自分が自分の事情を知らない他人とどうやって正常な関係性を持つかというところには焦点が当てられない。創作だと「過去にこういう事があったかわいそうな人」「傷ついた私を知ってほしい」というところに閉じこもりがちなものが多くて、だから面白くないという人がいるのもわかる。でもおれはかわいそうな人が書きたいんじゃないし、かわいそうってポルノ的に消費されたいわけじゃない。とにかくこれからどうやって生きていくのか、どうやって正常な関係性を身につけるのか、その人がモンスターまたはモンスターの素養を持っていて時々その力を発露してしまったときに、切断処理をせずどうやって受け入れるか、どうやって受け入れてもらうのかという話を書きたいと思う。そういう意味では今回の話は割と偶発的ではあるけれども、モンスターである主人公が社会から切断されずに生きているところに希望をみいだせるようなラストにしたかったんだよね。そこまで読んでもらえるかどうかはわからないし、わからなくてもいいし、五年後とか十年後に読み直して今はもうこういう考え方当たり前だよな~ってその時に気づいてほしいと思う。あとこのテーマは第一回のこれからの祈りについてとも根底ではつながっている部分ではある。最後に戻ってこれてよかった
  • 講座ではいろんな世界観をためしてみたが、現実に非常に近い日本が舞台で主人公が女性っていうのはやっていなかったので最後にやってみた


あ、それと飛先生は最後眠りに落ちるところは暗くする必要ないんじゃないか、明るくなってもいいんじゃないか(夜明けっぽいシーンだし)というふうにおっしゃってて、それもそうだな~光は絶望だと思ってる人だしな~とも思ったんだけど、夜が怖くて恐ろしいところだったという葉ちゃんが暗いものを受け入れるというのもやりたいしな~とも思って、なんか難しいなとおもいました。まる。

いやほんと分かる人にだけわかればいい感じで書いてしまったのに優秀賞とダルラジ個人賞をいただいてしまって恐縮です。


読んだ人のぶんの感想も置いときます(あてにならないからあんまり気にしないで…

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梗概読んだときから楽しみにしてたんだけどマニラの南国の風景が行ったことがないと書けないやつでほんとによかった。途中うーん???そんなに簡単にそうなる?となるシーンがいくつかあって、あれ?谷さん…?と思ってたら最後にそれがひっくり返るのでうわ~~~やられた~~となった。全部伏線かよ~~~っていう。裏切られ度ではNo.1だったなぁ。強いて言えば初っ端から〈走馬灯〉をもっと出していってくれたらワクワク感があったかなということ、結構いろんな設定と事件が出てくるのでだんだんお腹いっぱいになってくるということ、いくら米軍とはいえ戦後に駐留地の無辜の人々を殺したらまずいだろう…(隠れてやってるとはいえ)というあたりが気になったというあたりかな。いつものファンタジー路線とか歴史物路線とは違ったのでちょっと新鮮だった

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今までの中では一番読みやすかったというか一番ストーリーが動いてたのでついていきやすかったなと思った。ヘビさんがほんと巻き込まれまくってるので可愛い。もっと字数を切り詰めたら童話になりそうってTwitterで言ったんだけど、童話とか児童文学って文字をできるだけ切り詰めてその中に心情も風景もアクションも入れていかないといけなくてかなり難しいと思うんだよねぇ…個人的には心情の描写が最低限なので、もう少し増やして行動以外で登場人物を好きになるようにしてほしいかなと思う。まぁでも今のこの感じが野咲さんの良さでもあるしなぁ…

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揚羽さんを知っているので、地の文を読むと朗読聞いているみたいでフフってなる(良い意味です)話としてはオーソドックスで特に奇抜な設定がないから、読みやすいし、一直線に展開するので置いてけぼりにならなくていい。だけどちょっとワクワク感がなかったなぁ、なんでだろ。話の本筋であるミチュエーリの病原菌はもっとはやく出ても良かったというか猫のシーンからはじめて回想を挟んでいく構成が良かったんじゃないだろうか。構成次第で化ける話だと思うので改稿してほしいなとおもいますね。あ、あと猫は7Fから落ちても怪我せずに着地できるって聞いたんだけど、どうなんだろうね、、、

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雰囲気はすごくよかったんだけど、主人公が三十代…ん?三十代?となった。うーんー後でお話を聞いた限り俺が誤読してる部分もあるのであれなんだが、最初に妹が出てきて刑務所に入っているというので、妹がどうしてそうなったのか何か事件があったんじゃないかと思って読みすすめると妹がなかなか出てこなくて、しかも微妙に時間を切り戻しながら話が進むので、うーんこの話はどこへ行くんだ?となってしまった。とりあえず一回書いてから時間軸とイベントリストを整理して再構成すると全然変わってくる話じゃないだろうか。あと講評でも言われてたけどSF要素ないほうが絶対にいい話だしもっと深みが出ると思う。


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お話がどうかという話とは全く別に、ひとになにかを議論させたくなる話ではあると思う。個人的には父というか男性の扱われ方がつらいのと、結局主人公は父になってしまうのか、どうしてムスメのままじゃだめだったんだと悲しくなった。本人がどういう想定だったとしても「父」とか「ムスメ」とか「お父さん」という単語を選んだ時点でジェンダー論が絡んでくるのは明らかで、この話だと無自覚に名誉男性を肯定する話になっていると思われるので、おれはすごく辛い。最後に一番弱い子がうっかり父になって、ムスメのまま不安を抱えて主人公がその旅についていくのだとしたら新しい地平が開かれたかもしれないな~と思うんだけど琴柱さんがそういうの書きたいかどうかとか、ちゃんと勉強しているかどうかとかはすごく大事になってくるので、無理に寄せる必要もないんだろうなと思いました。まる。ダールグレンラジオでゴール○ンカ○イの絵面のまま読んだと言っててそれを聞いてから割と読みやすくなったんだけど、琴柱さんって他の作品もふくめて漫画の既存作品からのイメージに頼っている部分があっておれはそういうところがすごく読みにくい(あんまり漫画に親しんでこないままおとなになったから)し、そこが作品の限界になる可能性があるのでもうちょっと噛み砕いて自分の世界を作ってから描写をしたほうがいいんじゃないかなと思った

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おれはハロプロのことしか知らないから…w作品の設定としてはいろいろ粗があってあれどうなってんだこれどうなってんだなんだけど、もうほんと最後まで作者の愛され力(=アイドル力)で押し通してるので嫌いじゃないですw


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最後まで書けよォ!未完とか自分で言うなよぉ!

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おれのイチ押し。ロマンをもっと!って思ったけど御本人が汗臭くない楽しい女の子のすげぇ登山の話がほしいって言ってたので、あ、これはこれでいいんだなと思いました。まる。結構雑なところもあるし、核のアイデアが間違ってるし、パロディがパロディとしてわからないところもあるのだが、これも茶里さんのアイドル力でなんか気にならずに終わるのでいいのかもしれない。微妙にちゃんとしてるところとそうでないところのばらつきがあるので、全体的にバカなトーンにそろえればもっとよくなるんじゃないだろうか。わかんないけど。個人的には山が伸びたり、引力を発生するようなでかい星がちかくに来たとかめっちゃスケールのでかいバカな話にしてほしいなぁ。