Amazonの書評にはたまに本気の人がいるから困る

そのクソ現実に、いまだに奇跡のようにあたたかさが宿っている。現実を知らない人たちが灯す明かりを頼りに、なんとかぼくらは生きている。だから主人公はもっと救われなくてよかったし、ぼくらはもっともっと困惑してよかった。迷い続けるよりは、偽りの光でも見えていたほうがいい、というのがこの作品のラストだと思う。いびつな解釈だと自覚して。

この世界はクソだ。はずみで人が殺されるし、意味なんかない悪意が渦巻いている。
そのことを、あたたかな家庭を持ってさえ、ボクはひと時も忘れない。

そのことを僕は忘れない。