相性すっごく悪いと思うんだよね、なんていうか生理的に受け付けないんじゃない?と僕ともう一人を指して言う人に僕は不自然にも思えるほど強くそんなことありませんと否定する。そして心の中でちらりと不安に思う。もしかしてそう見えるんだろうか、とちりちりと胸の底が焦げるような思いに苛まれる。言われた当人は少し悲しそうな不安そうなまなざしを僕に向ける。僕は悲しくなって眉根を寄せる。
いやいやいや、斧田さんの生理的に受け付けない人はねーほかにねー、いるもんねー、と警戒心の強い上司がタイミングよく口をはさむからどう反応してよいか即座に判断できなかった僕は慌てたあげく水をこぼし、不安そうな顔をしていた人は吹き出す。

ところで、生理的に受け付けない人って誰なの、としばらくたってから彼は聞いた。僕があなたではありませんよと言うことをオブラートに包んで言うと彼は、相変わらず少し不安そうなまなざしで僕を覗き込んで誰なの、だれなのよぅと少しおどけておばちゃんのように言った。尊敬や親しみや思慕やそういう思いをないまぜにして僕は声をあげて笑う。