というわけであんまりおすすめされているのを見たことがない本をおすすめしていきたいと思います。
チベット医学のエッセイ本
僕は日本でたったひとりのチベット医になった ヒマラヤの薬草が教えてくれたこと
- 作者: 小川康
- 出版社/メーカー: 径書房
- 発売日: 2011/10/20
- メディア: 単行本
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表題の通り、日本でたったひとりのチベット医になった小川さんの著作だが、まずチベット医とは? チベット医になるのは大変なのか? チベット医学ってどんなことをするの? 平安時代みたいに経を唱えて祈るだけ? みたいな疑問がぶわっと湧き上がると思う。実際には経験則で薬草を乾燥させたり煎じたり、あとは脈をとって話を聞いたり(セラピー的なもんなんですかね)するらしく、前近代の薬師に近い存在のようだ。
僕は薬師のことが知りたくてこの本に行き当たったが、エッセイとしても、文化紹介としても非常に面白い。あんまり構えずに読みたい、しかし唯一無二の本である。
ブンガク
ジャブジャブという感じでとりあえず芥川龍之介。有名なのは王朝物や児童文学のほうだが、個人的にはこの二作が好きだ。
夏目漱石が書き出しとつかみの天才なら、芥川は物語の締め方の妙を楽しむ作家だと思っている。有名な羅生門の「下人の行方は、誰も知らない。」というしめは誰もがかけるものではない。普通、そのひとつ前の文「外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである。」で終わらせるだろう。秋もそんなふうに終わり方が素晴らしい短編だ。片恋はちょっと趣が違って江戸っ子って面白いなーと軽く楽しむ一編である。そりゃひしゃげちゃってたら悲しいわな。
中国文学
- 作者: 蘇童,飯塚容
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2012/02/16
- メディア: 単行本
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行って帰ってきて、ぼくの背中は空っぽになった。少女がもたらした温かさは消えていた。背中はまだ惰性で曲がったまま、目に見えない小さくて柔らかな体を支えている。ぼくの背中は下品だった。異常なほど下品だ。別れてわずか二分足らずで、ぼくの背中はもう少女を懐かしんでいた。
蘇童自身は紅白粉などの有名作品(チャン・イーモウが映画化した)もある、中国では超有名作家である。莫言より少し年下で余華と同世代の六十后の中心的な作家だろう。幼少期に文化大革命時代を過ごしたこのあたりの世代の中国人小説家は本当にすごいものを書く。
- 作者: 蘇童,寺門孝之,飯塚容
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2008/03/27
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- 作者: 余華,泉京鹿
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/06/25
- メディア: 単行本
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あと時々ネットで間違った認識の人を見かけるが、中国政府は文化大革命は失敗だったとみとめており、兄弟の上巻のように情緒たっぷりに悲劇を書くのは認められている。認められていないのは天安門事件を含めた民主化運動であってさすがの余華もそれは避けて通っているようだ。だから兄弟の上巻は傑作だったが、兄弟の下巻は下品で下世話で混沌としてしまったのだと思う。
ちなみに天安門事件あたりの中国の雰囲気を知りたければ、天安門事件が原因で本国に帰れなくなった中国人作家、哈金の「自由生活」を読むといい。中国文学とはちょっと雰囲気が違うが、軽妙さは中国文学らしさを残している。まぁすごく面白いわけではないですが。
- 作者: ハ・ジン,駒沢敏器
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2010/09/08
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- 作者: 彭見明,大木康
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/06
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児童文学
- 作者: 川島誠
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2013/07/17
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日本語について、文学について
- 作者: 水村美苗
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/11/05
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語学本
- 作者: 西村牧夫
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2011/06/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ためになる語学本である。フランス語なんて趣味か仕事でよっぽど必要じゃなきゃ不要でしょ、と思うなかれ。特に最初の冠詞の話は英語に通じる部分があり、なるほどそんなノリで使えばいいのかと納得する。フランス語を学べば英語もできるようになる(なぜなら英語のほうが簡単だから)。
TOEFL Grammar Workbook 4E (Academic Test Preparation Series)
- 作者: Arco
- 出版社/メーカー: Arco
- 発売日: 2001/11/24
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英語力を1レベルからそれ以上アップさせるための文法本。この文法本をよむとなるほどそういうことだったのかと目から鱗がぽろぽろ落ちる。あ、全部英語なんである程度英語ができないと読めません。
物理
- 作者: 田崎晴明
- 出版社/メーカー: 培風館
- 発売日: 2000/04
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熱力学の革命的な本。田崎先生はほんとうにわかりやすく物理を語ってくれるのだが、本でもそれは同じだ。熱力学にはバイブル的な伝説の書「フェルミの熱力学」もあるのだが、僕はこっちのほうが分かりやすかったです。アマゾンのレビューにもある通り、なんか雑然として結局事象を観察するしかないんでしょ? と思えがちな熱力学にもちゃんと芯の通った理論があることがわかる、そんな一冊です。
数学
- 作者: John Derbyshire,松浦俊輔,ジョン・ダービーシャー
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2004/08/26
- メディア: 単行本
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物理なんか知らねぇよという人のために数学の本もおすすめしてみよう。数学の入り口に立ちたいなら絶対に触れておきたい整数論。シンプルだからこそ難しいこの分野を高校数学(ヘタすれば中学生でも大丈夫かも)までの知識で読めるようにした本だ。ちなみに高校数学がわかんなくても、数学は苦手でも、奇数章だけよんで数学者たちの歴史に思いを馳せてもよし。数学の本はいろいろ出ていますが、数学をよく知っている人にも、全然わかんない人にもアプローチできる本はあんまり多くないのです。この本はできる方です。
- 作者: 志賀浩二
- 出版社/メーカー: 朝倉書店
- 発売日: 1988/09
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SF
- 作者: コニー・ウィリス,松尾たいこ,大森望
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/08/27
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ちょっと毛色をかえてSFです。SFとはいっても宇宙とか出てこないのでおすすめするにはちょうどいいかも、な本。ちょうどいいかもといっても気づいたら明け方になっているタイプの本で、もしかすると時間転送装置が内蔵されているのかもしれない。
大森望さんの訳が自然なのもとてもいい。出てくるキャラクターがわりと典型的な造形だったり、その世界はずいぶん五分経つのが速いんだなという引っ掛かりがあったりはしますが、張り巡らされた伏線と引き込まれるストーリーテリング力は他に類をみないだろう。SFの傑作はいろいろあるけれども、十年に一度の傑作といわれるだけのことはある。
- 作者: コニーウィリス,Connie Willis,大森望
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1992/07
- メディア: 文庫
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ソフトウェア開発
- 作者: マイケル・C・フェザーズ
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2016/01/15
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