予告動画が趣味の俺が、おすすめの予告動画15編。なお本編のクオリティは問わない模様

映画っていいですねぇ……なんですけれども時間がないと映画って見れないんですよねぇ。パンを捏ねたり文字を書いたり現像したりしてるとどうしても映画を見てる時間が足りない。そんなあなたにおすすめの趣味が予告動画鑑賞です。
結構予告動画って侮れなくて面白い映画なのに予告はクソだったり、クソ映画のくせに予告は傑作だったり、クソ映画かつ予告もクソだったり、もしかして予告動画職人がいるんでは?って言うくらい違う話になってたり、そんな世界なのです。合わせて本編を見ても楽しいし、数分だけみて映像美を楽しんでもよし。結構いい趣味だと思うんですがいかがですかねぇ…


ま、御託はよして紹介していきましょう。

1. パプーシャの黒い瞳

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まずですね、予告動画の中に「美しいモノクローム映像」と出ているあたりで本編はそんなに面白くない予感がひしひしとします。ストーリーが面白いならそっちを宣伝するからね。映像作ってる人が映像褒めちゃうって映像以外に宣伝するところが少ないからなんです。でもそれを脇においても美しいモノクローム映像です(おい)。あと「父なる森よ――」の台詞が入るところが完璧すぎる。予告は傑作タイプの動画ですが、本当に傑作です。

2. ぼくのエリ

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何度も予告は傑作ですとかいてますけどほんとに傑作です。寒々しいスウェーデンの冬と二次性徴前の中性的な漢字が残る神々しい少年と年齢不詳感のある少女と、そして予告動画用編集のうまさ。最初の3分の1でだいたいの舞台設定と主人公の背景を出して、次の3分の1はぎゅっとシリアスにして、最後の3分の1は二人の関係性を描くっていうね。完璧な構成ですね。音楽もいいですね。
アメリカ版のモールスは内容が明らかに原作と異なっていてなんだかなぁ感がすごいのだが、こちらは原作者が監督していることもあって本編の終わり方や舞台設定とかは原作のまま。しかし本編はなんか間が独特でハマる人はハマるんだけどはまらない人にははまらないそんな映画なのです。まぁでもアメリカ版より絶対こっちだけどな。

3. ディオールと私

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本編はまだみてないのだがドキュメンタリー映画なのでこの予告以上のことはあまりないと思われる。動画の作りとしてはシンプルだけれども、予告からもビシビシと伝わる情熱がすごい。本編がこの予告を超えるとはあまり思えないし(むしろお針子との対立が長くて鬱々しそう)、オートクチュールに興味がないと見るのもしんどいかもしれない。

4. スリーピングビューティー

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川端康成原作のフランス映画。これは本編も結構面白そうなのだが(ただフランス映画なのですっきりした感じにはならないだろうけど)、それにしても映像・音楽がいい。しかも予告の最後でぴったりと終わる音楽の使い方。謎を残し思わず本編を見たくなるような予告の作り方。お手本のような予告動画ですね。

5. 妻への家路

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これはチャン・イーモウの映画なので本編も絶対面白いのだが、予告で参りました。チャン・イーモウの独特な赤、灰色の風景もさることながらストーリーがはっきりと分かり、かつ面白いこともひしひしと感じられる予告。たぶん予告に使える場面が多いからこそこんなふうに余裕を持った予告編を作ることができるのだと思う。

6. バベルの教室

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もうちょっと長い版の予告もあったのだが見つからないのでこっちで。この予告の主軸になるのは文句を垂れている黒人の女の子だが、彼女を中心に据えたことで移民社会の問題とか移民してくる難しさを短い時間でも意識できるようになっている。本編だとそこまで彼女の比重は多くないんだろうなとは思いますけどね。フランスは本当に移民が多いのでこういうドキュメンタリも映画も少なくないのだが、それゆえに洗練された予告動画だと思う。

7. イヴ・サンローラン

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本編はそこまで起承転結はないのだが、というか起転…あれ?終わっちゃったよ…という感じなのだが、この予告の演出はうますぎる。作中の時間軸行ったり来たりしまくって映像をつなぎあわせているのできちんと起承転結ができているのがおもしろい。これは絶対予告動画作家が作ったとしか思えない。

8. もう一人の息子

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これは絶対に本編も面白い映画だと思うが、おそらく本編でも重要になるシーンを出し惜しみなく使っている予告動画鑑賞者にもやさしい予告。はじめにストーリーの中核を端的に示して、緊張からの緩和という流れになっている。ドラマ系の映画には多い構成なのでオーソドックスではあるのだが、舞台設定が舞台設定なので最初の設定の説明だけで緊張が高まる。ガザ地区に関する映画はガザ地区を舞台に持ってきただけでストーリーを作りやすいということもあるのだろうが、しかしそれにしても見てみたくなる予告だ。

9. 危険なプロット

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サスペンスとしては百点満点の予告動画である。結末はわからず、緊迫感は伝わり、繰り返しのモチーフでテンポよくぐいぐいと引っ張っていく。最後に「続く」。うまいよねぇ…

10. 4分間のピアニスト

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これは本当に音楽がいい予告。本編もいいんだけど本編をみると予告が傑作すぎることがわかってしまう。収監されてる状態からコンテストに出るだけでもものすごいことなので下手に一回暗転させる演出をしなければよかったのではとも思うが、まぁでもそこはね。割と時系列にそってない動画の切り貼りをした予告ではあるのだが、一番最後にあの演奏の始まりを持ってきたのは本当にすごい。どんな予告動画作家だ。いや、これは監督がちゃんと編集したのかな。

11. さよなら、アドルフ

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これはフタを開けるとちょっと設定が変わってるあんまりおもしろくないロードムービーなのだが、予告の作り方がうまい。平穏な日々からの暗転で旅に出るというのを半分近く使ったところで更にもう一捻り入れてくるところがいい。本編を見ると予告に使われている動画の時間軸がぐちゃぐちゃで、予告動画作家の作品だとおもわれる。

12. 顔のないヒトラー

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ドイツ映画も結構面白いんだよなぁ。これは本編はまだ見ていないが、予告の中で徐々にこの映画がなにについて描いているかを理解させるあたりがほんとうにうまい。最初はなにもわかっていない検事が次第に変わっていって、最後の場面であのセリフを吐く時にはなんか恐ろしい迫力があって予告だけで完結させてもいいくらいのできですね。実話が元なので本編はちょっとたるそうだけども。

13. デザート・フラワー


映画『デザート・フラワー』予告編

最初に成功しているシーンを見せることでそこからの成り上がりストーリーが予想されるのだが、間に本人が一番描きたかったアフリカの割礼の話が入ることで一捻りが聞いている。これは本編も見たいんだけどさー…しかし女優さん綺麗だな。本人も綺麗だけど。

14. 偉大なるマルグリット


とんでもなくオンチなマダムの物語!映画『偉大なるマルグリット』予告編

これはやばいです。もうそもそも主人公が音痴というところからして掴みが最高なのだが単なるコメディかとおもいきや音楽がシリアスで!?となった。系譜としては英国王のスピーチに近いんですかね。まだ見てないけど見たくなる予告動画で素晴らしいですね。

15. クロニクル

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あんまりアメリカの映画は入れてきませんでしたが、このクロニクル、本当に映像が抱負なので予告の作り方に遊びがある。最初の方に楽しいおふざけシーン入れまくっといて真ん中辺りから一点緊迫させてそのまま最後まで持って行って、挙句最後にバーっと巻き戻してさ、よくそんなこと考えたな!



これ以外にも独裁者と小さな孫とかヴィオレッタとか東ベルリンから来た女とかあの日のように抱きしめてとかパレードへようこそとかターナー、光に愛を求めてとか譜めくりの女とか、予告は傑作という縛りなら神々の山嶺とかもあるのだが、まぁ今回はこの辺でね。
日本映画は全然出さなかったけど、日本映画は割りと予告がうまいのが多いと思う(だめなのもあるしアニメはちょっとどうかというのも多いけど。ジブリは予告もうまいよな)。ただスウェーデン映画と同じで間がねぇ…たるいのよねぇ…