空気中に含まれる水分が増えてくると調子が悪くなる。やけにのどが渇いて、食欲が失せる。水ばかり飲んでいるのに、のどの渇きは癒えることがない。この一週間くらいずっと一日休もうかそれとも午前休をとって休もうかと考えていたのに、考えているうちに気づいたら会社についていて、自席に座り、仕事をしている。思考はできるのに感情がどこかをふわふわとさまよっていて、体の中にとどまろうとしない。魂が遊んでいる。
調子は悪い上に、致命的に悪いことを起こしいやすいフェーズにいることは分かっている。しゃべり始めたらやたら饒舌になり、しゃべるのをやめとたんにひどい自己嫌悪で机に突っ伏したくなる。息を抜きながら、思考を休めながら、ゆっくりと進まないと、体がばらばらになってしまう気がする。


という感覚を最近自分の手の中に引き留めておくことができるようになった。体が実際に動かなくなるまで、言葉がしゃべれなくなるまで、あるいは文字が読めなくなるまで気づかなかった頃よりはましなのだ。でも、ストレスは感じる。気付かないというのはなんて幸せなことなんだろう。

ある日突然そんな気持ちがやってくる。どこかへ行ってしまいたい衝動、焦燥感、そういうものを突然感じるときがある。ここではなくて、どこかへ、早く行かねば間に合わない。そんな気持ちになる。ここではないという寂寥感、寂寞の思い。どこかへ行きたいという焦燥感、どこへもいけないという諦観の念。

2006年そしてその前年の2005年の記録を読むと慄然とすることがある。そんな世界の中でも僕は安穏の中にいると思っていた。安定してきたとすら思っていた。実際のところはどうだったか。僕にはもう思い出せない。遠い昔のことのようで、いや、記憶がないから。思い出せない。