日報ノートのはじっこにこっそり前に自分で書いたところのはずだがまるで覚えのないコードになっているので何が何だかわからない、と書いて閉じた。終焉を迎えたプロジェクトは諸々の事情で再始動するようだが、再始動するまでつかの間の休息をとるためにさっさと人がはけていく。フロアの一角にちょうどいま実装完了を二週間後に控えた僕のプロジェクトの人たちと、前のプロジェクトのPMが残作業をするために残っているだけだ。日報を見せる先輩もさっさと引けてしまいたがったので目次だけ見せて、中身はゆっくりとペンで記した。あと何年かして読んだらこの煮詰まり具合も懐かしく思うのだろうか。

ことばが詰まって出てこないとか、簡単なことがわからないとか、やろうと思った瞬間にそれ自体について忘れてしまうとか、文章の意味がわからないとか、そういう症状が今日突然現れて、集中力も極端に落ちた。よく分からないまま一線を超えてしまったのだ。まだ大丈夫だと思っていたのに突然そこに線が現れたので気付かなかった。帰りの電車の中で無意識に涙ぐみながら、この一年を振り返っていた。そういえば僕にとって一番ストレスになる人間関係の変化が非常に大きい一年だったのだ。作業量はそれほど大したことがなくても、いつもなら耐えられる新しく覚えなければならないことの量であっても、無理をしてはいけなかった。余裕を持たねばならなかった。それにきづかないほど余裕をなくしている自分。全速力で走ることにしか注力していない自分。それでもまだ土日が自由に使えるから何とかなっているようなもので、これがそうでなければあっさりつぶれてしまうに違いない。

ああでもこのプロジェクトの後には僕個人の請け負う仕事だかサービスだかよく分からない小さなプロジェクトのようなものが控えているのだ。自分で計画を立て、自分で工数管理をして、自分で構築しなければならない。テストも何もかも自分で考えて、責任を持って。以前のようにはたぶんできない。僕は知ってしまったから、知ろうとしているから、それを手に入れたいと願うから、だから幸運にも巡ってきた機会で試してみたいと思っている。そのために土日はたぶん時間を割くだろう。僕は倒れないか。つぶれてしまわないか。立ち止まらなくていいのか。前に進みたい。でも怖い。これ以上線を越えるのが、怖い。せめて人間関係の変化がもう少し少なくなれば。いや、果たして。

暗闇と光の境目で僕は爪を噛んでいる。