今日別のフロアで作業をすることがあったのだけれども、そのフロアの回路の達人とお話をさせてもらえた。聞く話によるとすごい人らしい。ちょっと彫が深くて白人ぽい容貌をした紳士なのに口を開けばべらんめぇ調だったりするのが侮れない。昔はどこか外国で会社をやっていたのに何を思ったかある日突然うちの会社にやってきてそれ以来メーカーではないうちの会社でハードを専門に開発している不思議な経歴の人だ。少し話をしてものすごい回転の速さだなと驚嘆した。回転が速すぎるのかものすごい早口でしゃべる、しゃべるけれどもわかりやすい理路整然とした世界。すいませんこんなとろいしゃべり方でと思いながら、新人研修のときの回路の話を教えてもらったりなどした。
たぶんプログラミングより回路の方が好きなんですと言ったからあのひとは僕にいろいろ語りたくて仕方がなくなったのだろうと思う。作った回路の話と、あの時僕が追加で付け加えた機能について、こうすればいいとかあぁするのがいいとかいろんな話を交えて洗練した回路図を書きだしていく。もう何と言うか、すごいとしか言いようがなかった。楽しかった。色々とお話をして一時間くらいあっという間に過ぎてしまったような気がする。


ぼくにそういう語るべき言葉があるのだろうかと時々考えたりする。目の前にあるものをキャッチアップしていくのに必死でそれでも一つ一つ消化していくことにすら四苦八苦としている僕に、その僕の数年後に、語るべき言葉はあるだろうか。あるひとつの信念を持って、誰かに語りかけることのできる言葉を僕は手にすることができるだろうか。


最近そういう思いがとみに強くなる。たぶんいろんな人に出会っているからだ、その人たちを尊敬できるからだ。だから僕は目の覚めるような思いに感動してそうなりたいと願ってやまないのだ。