紀行写真の10のコツ

最近旅行、というかいろんな土地に行くことが多くなったので書いてみようかと。ちょっと精神論的な部分に転びやすいうえにテクニックについてはあまり書いてませんのでお茶請け程度に。

1. とにかくなんでもとっておく。何度も撮っておく


(X-M1/XF35mm f1.4/Eurostar)

長距離移動中はともかくとして、平均して一分から二分に一枚くらいのペースで写真を撮るくらいで良いと思います。それくらい「あ!」みたいな瞬間はあるし、もしなかったとしてもそれくらいのペースを作っておくと「あ!」が来た時に逃さない。博物館、バス、チケット、電車、駅…なんでもです。特に食べ物に関しては店に入る前、食事が出てきたら、ひとくち食べたら、食べ終わった後、そして変えるときにもう一枚くらい写真を撮っておくことをおすすめします。食事ほどもう一回!ができないものはありません。
ただし、撮ってはいけない場所ではきちんとカメラをしまいましょう。あとマナーは守るべき。人にカメラを向けるときは十分離れるか、もしくは許可をとりましょうね。

2. 焦らないで待つ


(Zenzabronica/Zenzanon 100mm f2.8/Velvia50/London Humpton Court)

観光地はみんなカメラを持っているのでカメラを構えやすいですが、そのかわり同じものをとっている人も非常に多く、正直邪魔だよということもあるかと思います。でもそういう時も焦らない。まぁここからでいいやと適当にとると後々後悔します。日常的に行く場所ではないのだから、納得行くまで待ちましょう。

3. 人が邪魔なら人を入れて絵を作る


(Pentax SP2/SMC Takumar 55mm f1.8/Portra400/London Tate Modern)

といってもどうしても人がはけないことがあるのも事実(つんく調)。そういう時はもう人を撮ってしまいましょう。人物を撮るのは多少抵抗がありますが、後ろ姿や長時間露光もしくは多重露光などで人の顔を映さないようにすることもできます。あるいは人を影にしてしまったり…とにかくこの辺りはセンスか経験の問題になるので細かくは書きませんが、試行錯誤が大事です。

4. みんながとっている場所は鉄板。でもつまらない…と思ったらテクニックを使おう


(Nikon D90/Sigma 28mm f1.8/Paris Effel Tower)

パリならエッフェル塔や凱旋門、ロンドンならビッグベン、ニューヨークなら…とまぁシンボルになる場所はやっぱりみんなカメラを出して撮りますし、せっかく来たんだからとっとかにゃ損!見たいのはあります。ぜひ撮っておいたほうが良いと思います。ですが、たしかに誰がとってもおなじになる被写体はつまらない。そういう時はテクニックを駆使します。夜景でとったり長時間露光したり、そのもの自体はぼかしてそれを映している人々を撮ったり、誰かのスマートフォンの画面を拝借したり、隙間から撮ってみたり…あるいはあえて正攻法で。とにかく諦めないことです。諦めないのが大事です。

5. 旅写真はミニ三脚で十分


(Zenzabronica/Zenzanon100mm f2.8/Portra160/Tokyo)

僕はこれ使ってますが、大きな三脚はかさばるし重いし、しかもあまり使わないので移動が辛くなります。ミニ三脚でもどこかに載せれば人の目の高さくらいにはなりますし、チルト液晶のカメラがあればピント合わせ、構図などに難はありません。また地面が汚かったり濡れていたりする場合もあるので、そういう時のためにもミニ三脚は荷物にちょっと入れておくとよいでしょう。

6. カメラは手から離さないこと


(X-M1/XF35mm f1.4/Tokyo)

レンズ交換などをする際もカメラをちょっとベンチの上においたりしないほうがいいです。治安がいいと言われている地域(もちろん東京も!)でもうっかり滑り落ちて破損とかいうこともあります。カメラが故障するとほんとうに悲しいですし、それ以降はただの重りでしかなくなりますから常に大事に扱いましょう。

7. 時間はたっぷりとっておくこと


(X-M1/XF35mm f1.4/London Hyde Park)

あせらないで待つと書きましたが、待つだけでなく何度も撮り直しをしたり一回移動したけどやっぱりもう一度あそこを撮りに行きたいなと思って戻ったり、あるいはちょっと横道に入ってみたらすごくいい場所があって思わず時間を忘れてしまったり、とにかく旅には時間がかかります。しかし旅とは新しいものとの出会いです。新しいものとの出会いと予定の消化なら、出会いの方を大事にしましょう。予定はいくらだって変えられます。でも新しいものには一度きりしか出会えません。

8. スケールを感じる絵作り


(X-M1/XF35mm f1.4/Paris Arc de triomphe de l'Étoile)

旅写真で特に多くなるのは建物や景色の写真です。広角レンズを持っていれば良い場合もありますが、それでもなんとなく面白くない絵になるという場合、自分が何に感動したのか、写真を撮ろうと思ったのかというのをもう一度考えてみましょう。意外に大きくてびっくりした?美しくて圧倒された?広大さに度肝を抜かれた?白すぎ? なんでもいいですが、その理由がわかったら、全く逆のものを写真の中に入れます。そうすると対比がはっきりとして納得の行く写真になることが多いかと思います。

9. カメラ・レンズはたくさんあったっていい


(D90/Sigma 28mm f1.8/Paris)

旅写真では機材を軽めに、できるだけ最小限で行動のじゃまにならないようにと言われることが多いですが、僕はそうではないと思います。写真は言ってみればもうひとつの目、その目を便利さだけで選んで良いのでしょうか?
どうしても好きなレンズがあればそれを持っていけば良いと思います。重いけれど信頼できる機材ならそれを持っていくべきだと思います。いくつも違う表情を撮りたいのなら、複数のレンズを持っていけばいいと思います。広角があればよかった、望遠があればよかったと後悔するなら持っていくべきだと思います。とにかく、自分が好きなカメラ・レンズを持ち歩いて満足する。良い写真が撮れれば旅はもっと楽しくなります。後悔しない旅をしましょう。

10. 何よりも旅を楽しむ


(Pentax Sp2/SMC Takumar 55mm f1.8/Velvia50/London Great Britain Museum)
多くは語りません。でも写真には意外に撮影者の感情が乗ります。
せっかく来た旅なのだから、もし写真を撮って疲れた感じがしてきたら、しばらく感覚をまっさらにして旅を楽しみましょう。
あるいは同行者があまり写真好きではなく予定をしっかり消化してあちこち行きたいタイプなのであれば、お互い妥協できる範囲での撮影をしましょう。遠慮したり喧嘩をしたりして旅が楽しくなくなるよりは、いっそのことすっぱりと諦めて相手のペースで楽しむのもありだと思います。がっつり写真を撮りたい人なら、一人旅も結構いいものですよ。