今朝方いやな夢を見た。そこかしこで人が死に腐っているのを横目にただ歩いていくだけの夢だった。湧き上がる怨嗟や憎しみ、悲しみ、慟哭、あるいは怒声、狂気というものが襲いかかってくる中を歩いていくというよりは走り抜けていく夢。その際限なさに夢か現かわからなくなったところで目が醒めた。時計を見ると午前4時だった。外はまだ暗く、開いたケータイのぼんやりとした光の中でため息をついた。いやな夢だった。落ちも何もなく、ただ暗いところへひきずりこまれていくような、そういう感覚。
実はその夢は以前にも見たことがあり、しかも人体の腐り具合は以前よりも進行していた。見たことのある景色と、死体。ただ汚く、醜いそれら。

忘れようと再び眠りについた夢の中では、美しい朝焼けに出会っていた。しかしそれでもその夢の中にも死の影は忍び寄っていて、不吉な予感だけが目覚めた後にも残った。夢見が悪かったとはこのことを言うのだ。
少しずつまた、日常が戻ってきている。心が現実を直視せずにはいられなくなっている。たぶんきっとそういうことなのだろう。