最近はコンパクトカメラや携帯電話のカメラ機能も性能がよくなってきてなかなかよい写真が撮れるようになりましたが、それでもやっぱり一眼レフには憧れますよね。
「もっときれいな写真が撮りたい」、「あんなシーンを撮りたい」、「あのブログに載っていたあんな写真を撮れるようになりたい」、など動機は人それぞれ。ぜひ思い通りの写真が撮れるようにまずは基本からしっかりおさえましょう。
露出さえわかっていれば、たいていのカメラは使える
デジタル一眼レフやミラーレス一眼レフを購入された(もしくは購入を考えている)方は、なんかボタンがいっぱいあって難しそうだなーなんて印象を持っていらっしゃると思います。
確かに最近のデジタルカメラにはたくさんの機能が備わっていて、全部覚えるのは多分無理です。ここは潔く最低限必要な露出と、露出をきめる3つのことだけを覚えましょう。
この3つは「露出」、つまり写真の明るさを決める要素です。写真は光画ともよばれるように光をコントロールして絵を作り出すので、露出について正確に理解しておくと、思いどおりの写真が撮れるようになります。
シャッタースピード
シャッタースピードは、シャッターを押した瞬間からある時間までを撮影するよ、ということをあらわす数値です。シャッタースピードが短いほど写真は暗くなり、長いほど明るくなります。
シャッタースピードに関して言えば、多分なんとなく感覚的にわかっている方が多いと思います。携帯電話のカメラなんかもくらいところで撮影するとぶれやすかったり、夜景の光が流れて見えたりしますね。あれはカメラがここは暗いぞ、と判断して勝手にシャッタースピードを長くしているからなんです。
ふつうは125などの整数で表示されますが、これは1/125秒という意味です。したがって、数字が大きくなるほど、シャッタースピードは速い。1/1秒以上のシャッタースピードになると1", 2"などのように表示されます。が、まずは整数表示のシャッタースピードから使いこなせるようになりましょう。
シャッタースピードのまとめ:
ISO感度
ISOや感度などとよばれますが、正式名称はISO感度です。
これはなにを示しているかというと、撮像素子の感度です。ナンノコッチャという人のためにもう少し詳しくいうと、光に対してどれくらい敏感に反応するかという数値です。まだよくわからないというひとは実際に機材のISO感度を変えてみましょう。
シャッタースピードを変えず、ISO感度の値を大きくすると、光に対する感度がよくなるので写真は明るくなります。シャッタースピードを変えないままISO感度の値を小さくすると、写真は暗くなります。シャッタースピードは長くすればするほど手ブレが発生しやすくなりますが、ISO感度は単純に明るくなるだけで、画像に大きな変化はありません。もし家の中などのやや暗い場所で手ブレせずに撮りたい場合は、シャッタースピードを1/125などにして、ISO感度の値を大きくすればいいわけですね。
シャッタースピードより便利だな! と思いましたか? しかし残念ながら、ISO感度には一つ難点があります。
あまりにもISO感度を大きくすると、感度が良くなりすぎて人の目には見えないどうでもいい光(ノイズといいます)まで拾ってしまうのです。こうなると写真はかなり粗い感じになってしまって、ちょっと好みのわかれる出来上がりになってしまいます。最近のカメラは性能がよいのでそれほどノイズは気になりませんが、それでもプロ機材以外はISO3200くらいが限界だと思ったほうがよいでしょう。もちろんノイズは画像処理で消すこともできるので使い方次第ですが。
ISO感度のまとめ:
- ISO感度は光に対してどれくらい敏感に反応するかをあらわす数値
- ISOをおおきくすると写真は明るくなる。逆に小さくすると暗くなる
- ISOの値が大きすぎるとノイズがふえ、写真が汚くなる
- ISO値は100, 200 400, 800, 1600, 3200...などの値が使われる
絞り
今までの二つはカメラの本体の話でしたが、今度はレンズの話です。
明るさを調整するシャッタースピードとISOの話をしてきましたが、レンズにも明るさを調整する機構があります。
絞りです。
ただこの絞り、単純に明るさを変わるだけでなく背景のボケ味やシャープさなどもかわるため、前者二つに比べると少々厄介です(それが面白いのだとも言えます)
でも大丈夫。一つずつ少しずつ理解していきましょう。
LIFE14のロゴマークにもなっている絞りですが、実際にこんな形をしていて入ってくる光の量を調整しています。たくさん光がほしければ絞りを大きくあけ、まぶしすぎる場合は絞りを小さくします(完全に絞りを閉じてしまうと写真撮影ができないので、絞りを閉じるという言い方はしません)。小さな穴から入ってくるほうが当然光は少ないし、大きな穴から入ってくる光は多いという実に単純な機構です。そして絞りがどれくらい開いているかということを表している数値が、F値とよばれるものです。
基本のF値は1.4, 2, 2.8, 4, 5.6...などの数値になりますが、F値が小さいほど明るく(絞りが大きく開いている)、大きいほど暗くなります(絞りが小さくひらいている)。
もうお分かりかと思いますが、暗い環境ではF値を小さくし、明るい環境ではF値を大きくして写真の明るさを調整します。
ただF値、これだけではありません!
カメラを新しく購入した方の中にはF値をすでにご存知のかたもいらっしゃるかと思います。むしろF値の小さなレンズを使いたくて一眼レフを買ったんだよ!なんていう方もいるかもしれません。
どうしてそんな人がいるのでしょうか?
答えは、F値が小さければ小さいほど、ピントのあっているところ以外がボケる写真が撮れるからです。いわゆる一眼っぽい写真です。
左がF値1.4, 右がF値8で撮った写真ですが、違いは明らかですね!(追記:逆にかいてましたすみません
F値1.4のような写真を被写界深度の浅い写真などとよびますが、詳しくはまた別の機会にでも書きたいと思います。あとなぜF値が低いと大きくボケるのか?という点についてはそろそろ長くなってきたので今後またはほかのサイトさんなどで調べみてください。
絞りのまとめ:
シャッタースピードと絞りとISOの関係
さて、3つの要素についてつらつらと説明してきましたが、3つとも入ってくる光を調整するものならどうして1つにまとめてしまわなかったの?という疑問がふつふつと湧き上がってきます。きっと来ていると思います。
ですがもちろん、3つあることに意味があります。
各章で説明してきましたが、もう一度おさらいしましょう。
- シャッタースピードは撮影時間をあらわす。長いとぶれやすい
- ISOは光に対する敏感さをあらわす。大きいとノイズが出やすい
- 絞りは絞りがどれくらい開いているかをあらわす。小さいと背景がとてもボケる
ではここで問題です。下のような写真を撮りたい場合はどうすればよいでしょうか?
特徴は光が流れている点です。この写真の場合は車のサーチライトなんですが、こんなふうに線になるように撮るためにはシャッタスピードを3秒〜5秒ほどにしなければなりません。ではISOと絞りはどうでしょうか?
もしお手持ちのカメラがあったら試してみて欲しいのですが、ISO400くらいでレンズを開放にして(レンズの中で一番小さなF値にすることを開放と言います)3〜5秒ほどかけて街灯を映すと、写真は相当明るくなり、とても夜景には見えません。この写真ではISO100, F11くらいまでに絞り、入ってくる光の量を調整をしました。
3つの要素の関係を理解していれば、それぞれの数値を割り出すのはそれほど難しくありません。
3つの要素にはそれぞれに特徴があるので、どれかひとつの特徴を出したい場合は他の二つで調整することが可能なのです。特にF値とシャッタースピードは写真の印象を劇的に変化させるので、このどちらかの値を決めたら、ほかの二つの設定がほぼ自動的に決まります。
デジタルカメラだと絞り優先、シャッター優先などのモードがあったりしますが、まずは自分であれこれ試して実際に体感してみてくださいね。
ちなみに晴天時の日向の撮影では
シャッタスピード:1/1000
絞り:F11
ISO:400
が目安とかきましたが、それぞれ変えた場合にはどうすれば良いの?ということが気になると思います。
テキストではなかなかお伝えするのが難しいですが、少し我慢してお付き合いください。
テキストでお伝えするのは難しいので、それぞれの関係がわかりやすいように表を作りました。
SSはシャッタースピード、ISOはISO感度、F-STOPはF値のことです。右側に行くほど暗く、左側に行くほど明るいということはもうみなさんお分かりですね。
さて、いま緑色の丸がついた設定になっているとします。でもやっぱりボケが好き!ぼかしたい!という場合はどうすればよいでしょうか?
そうですね、F値を下げます。いっそのことF4くらいまで下げてしまいましょう。この時、シャッタースピードとISOはどうすればよいのでしょうか?
F4にするためにF値の緑色の丸を4つ左側へ移動させました。なので同じ明るさを維持するためには、残りの2つの設定をあわせて4つ分右側に動かせばOKです。
というわけで、シャッタースピードとISO感度を二つずつ右にずらしてみましょう
丸をひとつ分を一段と呼ぶのが通例です。この例だと絞りを四段開けたので、シャッタースピードを二段分速くし、ISO感度を二段分下げたというふうにいいます。ちょっと言えるとプロっぽいですが、別にわかんなくても大丈夫です。大事なのは、どれをかえれば他をどれくらいかえる必要があるか、がわかっていることです。
デジタルカメラの場合露出計がカメラに内蔵されているので、特に意識しなくても写真はとれますが、もう少し絞りを開けたいなぁとかシャッタースピードを長くしたいなぁなんていう時にそれ以外の設定をささっと直せれば、シャッターチャンスを逃さずにすみます。ぜひ試行錯誤して自分のものにしてくださいね。